SSブログ

部長の椅子 [日記]


今日もいつものように出勤していく。
コーヒーをタイマーで沸かしトーストを焼いて食べる。
こんな簡単な朝食で一日は始まる。
 
1-IMG_1598.JPG 
 
 
会社に着くと机上にあるパソコンの電源を入れる。
今日のスケジュールを確認する。人よりほんの少し早く出社して
当日の計画を眺める。部下たちの行動を監視、指導、監督する
課長なのだ。
「それにしても最近の若者たちは、そろいもそろって朝が遅い。」
一通りスケジュールが把握できたところで吐く独り言だ。
ひとつの課に主任一人と平社員3人で構成されて、田の字に机が
配置されその頂点に課長の机がある。さらにその後ろには、デンと
構えた部長のデスクがあるのだ。ピラミッド配置型と呼ばれる配置で
指揮系統を表現しているらしい。
いわゆるこのフロアの頂点である部長から、各課長へと指示命令を
とばし各課で主任を中心にその作業に当たるのだ。
まだ平社員の頃に主任に引き上げてくれたのは、その当時の課長であり
今現在の部長になるのだが、部長に昇進する折にも課長に引き上げて
くれたいわゆる永遠の上司なのである。
いならぶ課長連中の中でも、長い付き合いで1番親しいのが我が課だ。
重要な案件を最初に任せてくれるし、部署の中でも1番の出世課かも
しれない。もちろん評価は、部長である彼女が下すのであるが、きっと
良い評判に違いないと感じるのである。なにしろ平社員の頃からの
付き合いで、案件でもめたりしたのだがお互いを認めてもいた。
もちろん恋愛感情ではなく、当時は珍しかったが女性の上司の独創性や
技術力に驚いたり感心したりして、その考え方に魅力を感じていたが
これが恋愛までは、いかない仕事上での付き合いだけだった。
そんな部長の椅子は、フカフカで座り心地がいいのである。
軽くリクライニング昨日もついていて長時間のパソコンの作業にも
理想の環境だ。課長以下の装備の椅子とは違いゆったりとしている。
長い付き合いでもあるし、部長が昇進するときは、課長の中から必ずや
わたしを選んでくれるはずなのだ。長い付き合いでもあるしお互い気心も
しれているし、いわば業務提携の一蓮托生の間柄なのだから。
部長の案件は私の案件でもあるし、そつなくこなし部長の考え方を
具現化して完成に近づけるのも私だと自負しているからだ。
そんな案件をほかの課長ではなく真っ先にこの私に回してくるのだ。
ひとつの厄介な案件があった。部長が頭をかかえるほどの。そこで
私の登場である。部長は得意先回りで外出することが多い、社内に
いてもやれ会議だとか重役連中に呼びつけられたりしていて、机上で
案件を作業することは、時間的に難しい。代わりと言っちゃあなんだが
机上の作業を請け負う。まあ。机上といってもそのほとんどがPC内で
作業するのだが各個人用にそれぞれPCを貸与してあるので簡単だ。
会社のサーバー内は。各部署用にパーティションで区切られている。
部署を超えての閲覧はできないようになっている。もちろん階級によっても
閲覧可能な場所が決まっている。やはり部長の仕事は、部長の机上で
やらなければならないようにできているのだ。
部長とわたしの信頼関係で部長の机に座ることが出来る。もちろん
自分の仕事をこなした上でだ。そうこうしてる間に午前中なんて、あっ!
という間に過ぎていった。
 
1-IMG_1604.JPG 
 
 
お昼のお弁当を食べ終えると、部長は得意先回りを始めるみたいだ。
「あとを頼むわ。」もちろん快く引き受けた。
そんな毎日を過ごしていると、時の経つのは早い。部長の椅子にも
ずいぶん座り慣れてしまった。ふかふかのクッションがもう体に
馴染んでしまっている。作業を終えたあとの椅子の軽いリクライニング
軽く背伸びをしてみる。少しからだを後ろにそらすだけで、
疲れが吹き飛び作業の終了を実感するのだった。
もう、部長の椅子は確実に自分のものになってきている
そんなある日、私にとって重要な事件が発生した。顧客情報漏洩事件だ。
「へぇ~顧客情報って、そんなに高く売れるんだ?」
情報漏洩の意味さえわからずに金額ばかりに目がいった。
顧客情報だけで35万とは!これが合法なら旨い儲け話だけどな。 
しばらく残業続きで部長の椅子には、座っていない。自分の仕事で
手一杯の状態だった。部長も不在の時が多く空席ばかりが続いていた。
シコシコと自分の作業をしていると、周りがざわめく感がした。
目をあげると専務が立っていた。
「ちょっとわたしの部屋へ来てくれたまへ。」
なんのことかわからずに部屋へ行くと「どうだ?最近の調子は?」
などと世間話めいた調子。きっと昇進の件だな?勘が鋭くないわたしでも
なんとなくピンッ!とくるものがあった。
「実は、君に◎◎◎◎◎◎◎◎に行ってもらいたいんだ。」
わたしは愕然とした。いわゆる左遷なのか?◎◎◎◎◎◎◎◎といえば
営業所のテイをしているがまるっきり倉庫じゃないか?
それに辺鄙なところときている。
「あそこも人手不足だし君の力が必要なんだ。」
何か悪いことでもやったのだろうか?業績をあげていないせいか?
目の前が真っ黒になっていって専務の言葉が妙に遠くからに感じる。
「ε=(・д・`*)ハァ…」ため息とも了承したともとれる返事をのこして部屋を
出た。給湯室を通り抜けるときにひそひそ話が聞こえてきた。
「情報漏洩問題で大幅な人事異動がありそうなのよ・・・」
ひそひそ話は、耳に届くのが鮮明だ。我が社でも情報漏洩があったのか?
部下に聞くと情報漏洩はないが漏洩しないように厳重管理態勢に入るそう
世間の目が何かと厳しくなるからな・・・( ゚д゚)ハッ!わたしは、情報漏洩なんて
していないっ!何がどうしたというのだ?これまで順風満帆な風が
突如として逆風になり、貧乏神がほくそ笑むのが見えた。( ̄▽ ̄) 
 
 
なんと!タイムリーな情報漏洩事件なんでしょうか?
 

nice!(6)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

nice! 6

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0


貧乏日記 ブログランキングへ お弁当&キュキュットCLEAR泡スプレーお試しレポート
お弁当&キュキュットCLEAR泡スプレーお試しレポート

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。